ジェイルクの100万回死んだ猫パロです。
思いっきりそのままですので読んだことない方は気をつけてください。 ちなみにジェイドがにゃんこですvイメージは少年ジェイド。 ではご理解頂けましたらどうぞ あるところに100万年も死なない猫がいました。 100万回も死んで、100万回も生きたのです。 美しい蜜色の毛並み、翡翠色の目、名前をジェイドといいました。 かしこい、かしこい猫でした。不思議な力をもった猫でした。 100万人の人がジェイドを可愛がり、100万人の人がジェイドが死んだとき泣きました。 ジェイドは一度も泣きませんでした。 あるとき、ジェイドは王様の猫でした。ジェイドは王様なんて嫌いでした。 王様はジェイドを可愛がりました。ブウサギも可愛がりました。 ある日、王様はブウサギの上にジェイドを乗せて遊ぼうとしました。 ジェイドは王様の手を振り払い、窓から外へ逃げてしまいました。 王様は一人ブウサギを抱いて泣きました。 あるとき、ジェイドは使用人の猫でした。ジェイドは使用人なんて嫌いでした。 使用人は女受けのいい顔をしていましたが女性恐怖症でした。 ある日、女の人がジェイドを連れた使用人に話しかけてきました。 使用人はジェイドを置いて逃げてしまいました。 ジェイドがいないことに気付き、使用人は少しだけ泣きました。 あるとき、ジェイドは科学者の猫でした。ジェイドは科学者なんて大嫌いでした。 科学者はジェイドをそれはそれは可愛がりました。 ある日、ジェイドはいいかげん科学者がうざったくなったので、 科学者の顔を思いっきり引っかいて逃げました。 科学者はいつまでもぐずぐずと泣きました。 あるとき、ジェイドは歌い手の猫でした。ジェイドは歌い手なんて嫌いでした。 歌い手は可愛いものが好きだったのでジェイドのことも可愛がりました。 ある日、歌い手はジェイドをもっと可愛くしようと思い、フリルのたくさんついたリボンをジェイドにつけようとしました。 ジェイドは急いで逃げました。 歌い手はジェイドを思って歌いながら泣きました。 あるとき、ジェイドは女の子の猫でした。ジェイドは女の子のことが少しだけ好きでした。 女の子は雪国でジェイドと静かに遊んで暮らしていました。 ある日、女の子はお人形を壊してしまいました。 ジェイドは不思議な力でお人形を直してあげました。 女の子はジェイドを怖がって泣きました。ジェイドは女の子なんて嫌いでした。 ジェイドは何回も、何万回も死にました。 そのたびに何人も何万人も泣きました。 ジェイドは一度も泣きませんでした。 ジェイドは死ぬのなんか平気だったのです。 あるとき、ジェイドは誰の猫でもありませんでした。 野良猫だったのです。 そのころには何度も何度も生き返るジェイドを不気味がり、 ジェイドを飼おうとする人は少なくなっていました。 ジェイドはそんなことはまるで気にせず、毎日本を読んですごしました。 どんなメス猫も賢くて強いジェイドのお嫁さんになりたがりました。 贈り物をしたり、取り入ようとしたりする猫もたくさんいました。 ジェイドはそれら全部を無視して本を読んでいました。 なにしろジェイドは他人のことなんてどうでもよかったものですから。 ある日、ジェイドの住んでいる丘に少年が来ました。 朱い髪の少年はジェイドに気付くと色々話しかけてきました。 「なぁなぁ、名前なんていうんだ」 にゃあにゃあと猫の鳴き真似をしながら話しかけてくる少年がうっとおしかったので、ジェイドは 「五月蝿いですよ」 と人の言葉で答えました。 しかし怯えるかと思った少年は「すごいすごい」と手を叩いて喜びました。 「他には何が出来るんだ?」 とわくわくしてる様子で聞いてくる少年に 「私が怖くないんですか」 とジェイドは言いました。 「どうして怖いんだ?」 少年は不思議そうです。 「私は100万回も死んだんですよ。不気味とは思わないのですか」 「ん?思わないけど、それって悪いことなのか?」 少年の言葉にジェイドが呆れると、少年は楽しそうに笑いました。 それから毎日のように少年はジェイドの丘に来ました。 少年はジェイドが本を読んでいる隣りで勉強をしていました。 少年が「う〜・・・」と悩んでいたのでジェイドは 「何をやっているんですか?」 と聞いてみました。 「宿題をしているんだけど、俺頭悪いから全然わかんなくて・・・」 恥ずかしそうに少年は言いました。 ジェイドは少年の教科書を見てみましたが、それほど難しいことは書いていないようです。 しかし少年の答案にはところどころ白紙や間違いがあります。 「今、貴方が解いている問題の公式間違っていますよ」 ジェイドがそう言うとと 「マジで!?どこどこ!?」 と少年は慌てて直そうとしました。 ジェイドがついでに他の問題も教えてあげると少年は嬉しそうに笑いました。 夕方になり少年が帰る時間です。 「また来てもいいか?」 少年は少し不安そうに言いました。 少年は毎日来ていましたが、そんなことを言うのは初めてでした。 「・・・・・・ここは私だけの場所じゃありませんし、来たければ来ればいいでしょう」 ジェイドはそれだけ言うと、ぷいっとそっぽを向きました。 「ありがとう」 と言って少年は笑いました。 毎日毎日、少年はジェイドの元に来て勉強を教えてもらいました。 少年もジェイドの分かりやすい教え方のおかげで少しずつ勉強ができるようになっていきました。 ジェイドも、もう少年を邪魔だとは思いませんでした。 むしろ、少年の傍が心地よく感じました。 まるで陽だまりのようにぬくぬくと温かい気持ちでした。 ある日、いつもの時間になっても少年は来ませんでした。 ジェイドは少年の家まで行ってみることにしました。 丘を下り、街道に出ると赤いものが落ちています。 転がるようにして近づくとそれは少年でした。 少年の朱い髪が血で真っ赤に染まっています。 ジェイドは少年の名前を呼びましたが返事はありません。 少年はもう息をしてはいませんでした。 ジェイドは少年の身体にしがみついて泣きました。 100万回生きてはじめて泣きました。 夜になって朝がきても泣きました。 いつのまにかジェイドの翡翠色の瞳は真っ赤になっていました。 何度も何度も少年の名前を呼んで泣きました。 昼も夜も泣き続け、何度目かの昼にようやく泣き止みました。 そしてそのまま死んでしまいました。 ジェイドはもう生き返りませんでした。 END |