あらざらむ

100円 16P


5/4のスパコミで出したコピー本
タイトルは和泉式部の和歌
あらざらむ この世のほかの 思い出に 今ひとたびの 逢ふこともがな
から
ザンスク前提のスクアーロ中心小説。
<内容>
同じドアをくぐれたら(テュル+スク・ザンスク)
メイン。
スクアーロがマダオな剣帝テュールに拾われてから終わりまで。ザンスク出会い編。
テュール捏造。Dグレのティエドール元帥にギアスのロイドを併せた感じ。
砂の果実(ザン→スク)
本当は対等で居たかったXANXAS独白。
ジレンマ(マモ→スク・ベル→スク)
鮫を飼いたいマーモンといっそ首を切りたいベル。
愛は勝つ(十年後ツナ+スク)
いまだに微妙な関係のザンスクに呆れるツナ。

とりあえずメインのテュルスク小説を一部置いときます。




 「スクアーロ、いつか君を変えるその感情が愛であることを僕は望むよ」

***

「はあ、はあ、チクショウ・・・!どうして勝てねーんだよ!」
 シャンデリアの下がった豪華なつくりの部屋で一人の男が立っていた。否、立っている男の前には一人の少年が倒れており、床を血で染めている。少年の年の頃はおよそ12歳位だろうか。外にはねた銀髪がおかっぱの様になっている。線の細さとあいまって人によっては少女のようにも見えるかもしれない。しかしその眼光の鋭さが容姿の華奢さを打ち消している。
「駄目駄目だねぇ。そんなんじゃ僕の跡は継がせられないよぅ?」
「う゛ぉいっ継ぐ気はねえって言ってんだろーがぁ!?」
「うん?じゃあどうして挑んでくるんだい、君は」
「ヴァリアーに入る気はねえ!でもお前は俺がぶっ殺す!!」
 物騒なことを言われているのにも関わらず、男は相変わらずやる気のないだるそうな格好で少年を微笑ましそうに見ている。なんというか、初孫を可愛がる爺さんのようだ。
「うんうん。じゃあスクアーロ、ちゃあんと治療してこの部屋を片付けておくんだよぉ?」
「な!?う゛ぉおいっ待ちやがれ、おっさん!俺はまだやれる!!」
「おっさんじゃなくてパパン、もしくはテュールって呼ぶように言っただろう?スッピー」
「だれがパパンなんて呼ぶかぁぁぁ!あとスッピーって呼ぶなって言ってんだろがぁ!」
 男はくすりと笑うとスクアーロの前に屈み、彼の髪をくしゃくしゃと撫でる。そして
「ちなみに片付けは自分でやるようにねぇ。メイドに任せたらいけないよぉ?」
 スクアーロにそう告げるとひらひらと手を振り、部屋を出て行った。
 男の名はテュール。見ためはそこらにいそうな中年だが(しかもかなり駄目な部類)あれでも暗殺部隊ヴァリアーのボスにして剣帝とも恐れられる男である。
「う゛ぉぉいちょっと待て、ふざけんなー!!」
 そして少年、スペルピ・スクアーロには不幸なことに、彼の保護者でもあるのだった。