「お兄さんとかバジル君は当然呼ぶとしてー・・・」
 骸がいつものごとく我が物顔で綱吉の部屋に入ると珍しく綱吉が机に向かっていた。
「雲雀さんはどうしようかな〜。あの人呼んでも呼ばなくても怒る気がするんだよな・・・」
 真剣に悩んでいるようでノックをしなかったとはいえ入ってきた骸に気付いていない。しかもなんだか楽しそうだ。
「えっと綱吉君?」
「あ、骸!ちょうどよかった!!」
 本当に機嫌がいいらしい。勝手に入ってきた骸に怒るどころか満面の笑顔さえ見せる。こんな笑顔を向けられたのはいつぶりだろう。もしかしたら初めてかもしれない。骸が幸せを噛みしめていると綱吉は3通の手紙を差し出してきた。
「これ、千種さんと犬さんと髑髏に渡しておいて。予定がなかったら是非来てくださいって」
「これは?」
 骸は首をかしげる。彼らに綱吉が手紙を渡すとは何事だろう?
「クリスマスパーティーの招待状」
 きっぱり、はっきり言った綱吉に骸は内心ますます首をかしげる。クリスマスパーティー?そんなものいつ決まったのだろう?僕が覚えていないだけで、既に聞いていた?否、綱吉君に誘われたら忘れるはずがない。
「ディーノさんは来れるかなぁ。自分のとこのがありそうだけど、一応出しとくか。来れるといいなぁ」
 そんな骸の様子など気にも留めないで綱吉は招待状の宛名書きを進めていく。
「あの・・・綱吉君。クリスマスパーティーって僕、聞いてないんですけど・・・」
「うん。言ってないから」
 やっぱり知らされていなかった。忘れられていた?いや、単に急に決まって言いそびれていただけかもしれない。
「い、いつ決まったんですか?」
「ん〜、一週間前くらい?リボーンがボスとして世話になった奴呼んでパーティーを開くのは当然だとか言い出してさ。俺はボスになる気なんてないけど、母さんが乗り気になっちゃったし家族以外とクリスマス過ごすの初めてだから、なんだかんだ言って楽しみなんだよね」
 あとはコロネロと、スカルは呼んでいいのかなぁ。どう思う?
骸にそう告げると綱吉は呼ぶ人物の選定に戻る。
しかし骸はそれどころじゃなかった。一週間。それまでに何回も会っているのに知らされてもいないし、誘われてもいない。
「綱吉君・・・!僕、誘われてないんですけど!!」
 自分からそんなことを言うことでのプライドの崩壊とかむなしさとかそんなのはどうでもいい!確実に綱吉君とクリスマスを過ごすことのほうが重要だ!
そう思って綱吉に自己主張した骸に返ってきた答えは思ってもいないものだった。
「え?だって骸は仏教徒だろ?」
 だからクリスマスはしないかと思って。振り向いた綱吉はあっさりとそう言い放った。
「・・・・・・・・・な、綱吉君だってキリスト教徒じゃないじゃないですか!!」
 忘れられていたわけではないことにほっとしていいのか、予想外の答えに呆れていいのか分からないまま、骸はようやくそれだけ叫んだ。
「だって日本人だし」
 しれっとそう言うと綱吉は再び机に向かった。


クリスマスなんて大嫌い!


ヴァリアーも呼べってリボーンが言ってたけど、あいつらほんとに来るのかな。
え!?彼らさえも呼ぶのに結局僕のことは誘ってくれないんですか!?