ララのデーモン聖典パロでムクツナをやりたい。パロって言うか設定だけもらう感じで。

 ヒバツナ前提で雲雀を事故かなんかで亡くした(!)綱吉の前にデーモンの骸が現れるんだけど、綱吉が鎖だったために骸は雲雀の姿に・・・。

 そんな感じではじまるなんとなく救われない感じのヒバツナ前提ムクツナ(ただし、見た目はヒバツナ)な話をいつか書きたいなぁ。

とりあえず一部だけ書いたので載せときます。




 それは一瞬のことだったと思う。俺はツナと雲雀が並んで歩いている様子を、三歩ほど後ろから眺めていた。
 叫ぶ暇すらなかった。
 突然、車道を走っていたトラックが二人の、正確にはツナのほうに突っ込んできた。
 「あ」誰かがそう言ったのが聞こえた。後で考えるにそれは俺の声だった。自分でも信じられないほどその声は間が抜けていた。「あ」の後に続くのが「危ない」だったのか、「アホ」だったのか、それとも続きなんてなくただ声が出ただけだったのかは自分でも分からない。
 ただ、俺は助からないと思った。ツナはここで死ぬのだと、頭のどこかで理解していた。
 それほどまっすぐに、まるでそこが目的地であるかのように、トラックはツナに向かって行った。しかし、トラックがツナに触れるその瞬間、ツナが消えた。
 変わりに居たのは学ランの男だった。
 甲高いまるで悲鳴のようなブレーキの音に思わず一瞬、目を閉じる。目を開けると、ツナが呆然と座り込んでいるのが見えた。目線の先を見ると雲雀がいた。
 ちょうど振動で飛んだ黒い学ランがふわりと落ちてくるところだった。その黒い翼が青空に映えてとても美しかった。


******


「雲雀さん・・・?」

「くふ・くははははは!!まさか、この僕がこんな弱弱しい生き物に縛られるなんて!!本当に忌々しい!素晴らしい!面白い!!さて、じゃあ名前でも聞きますか!六道を巡って巡って巡り続けた僕を捕まえた幸運なご主人様の名を!!」

 綱吉はただ呆然と目の前の人物を見つめることしかできなかった。目の前の生き物は確かに雲雀の姿をしているのに頭のどこかが警鐘をあげている。

「チッ てめぇデーモンか。消滅しなかってことは駄目ツナがてめぇの鎖ってことか」

 放心状態の綱吉を庇うかのように、リボーンが雲雀の姿をしたモノに話しかける。そこではじめてソレはリボーンに気づいたようだった。首を下に向けて赤ん坊らしからぬ赤ん坊を見下ろす。

「おや、君は僕らのことについて少しは知っているようですね。まあ別に君の事はどうでもいいんです。鎖じゃないんですから。それより僕の鎖である彼の名前はなんですか」



******



「雲雀さん、ひばりさん・・・」

「雲雀?それが僕の名前ですか?綱吉君」

 綱吉はもう大分壊れてしまっているようだった。ただでさえ雲雀が死んだことで脆くなっていた心は、再び現れた雲雀を見て耐えられなかったのだ。
 綱吉は頭は悪いが、勘を外すことはない。その彼がこのデーモンを雲雀と本気で間違うなんてありえない。綱吉の脳は自らを守るために目をつぶることにしたようだった。

「違う。間違えるな、ツナ。それは雲雀じゃない。雲雀は死んだんだ」

「死ん だ・・・」

「そうだ。それは雲雀じゃない。雲雀の残骸だ。雲雀の形をしただけのいわば死体、骸のようなもんだ」

「むく・ろ・・・」

「そうだ、骸だ」

「骸?」

 綱吉は目の前の生き物に対してそう言いながら首をかしげた。

「むー。僕としては綱吉君に名付けて貰いたかったんですけどねぇ。まぁいいです。それが僕の名ですか?綱吉君」

 そして六道の化け物に名前が付いた。それは彼にどこまでもふさわしく死体を意味した名だった。