六道骸の死亡を伝え聞いたとき、正直俺はまたかと思った。

 骸の訃報はこれで五度目だ。脱獄した際に殺されたり、ミルフィオーレで殺されたり、病死、自殺、その名前に相応しいほど噂の中の骸は死んでいる。そう、全ては噂だ。時にそれは敵を欺くための骸の策略であったり、単なる勘違いであったりしたのだけれど、それらは全てデマだった。いつだって俺の動揺など露知らず、何食わぬ顔で帰ってくるのだ。あの男は。そして俺の腫れた瞼を指摘して、それはそれは愉しそうに笑うのだ。

「おやおや、ボンゴレ十代目ほどあろう人がどうしたんです?ただでさえ平凡な顔なのに不細工になっていますよ」
「うっさい!」
「クフフ、もしかして心配してくれたんですか?本当に甘いですねぇ。大丈夫ですよ。僕を誰だと思っているんです」

 あんまり笑うものだから、俺直々の頭突きを食らわせて黙らしたものだった。そして額に手を当て痛がる骸を見て、やっと俺は安堵して笑うのだ。ああ、何をそんなに心配してたんだろう。六道骸が死ぬわけないのに。
だからこの時だって肝が冷えるのを感じながら、俺は比較的落ち着いていられたのだ。

 だって六道骸が死ぬなんてありえないのだから