ともだちごっこ

300円 28P

2/10の全国大会R1で出したコピー本
もしリボーンに会う前に綱吉が骸と友達になっていたら
というIF設定の友情もの
友情といいつつ結構らぶらぶ

<目次>
日常ごっこ
出会い
青春ごっこ
仲良し
マフィアごっこ
リボーン登場
裏切りごっこ
裏切り
友達ごっこ
親友
おまけ 恋愛ごっこ
むらむら

日常ごっこは一周年企画で書いた『ともだちごっこ』の加筆修正版です。

サンプル↓


 それはいつもどおりの午後だった。あの男に会うその時までは。

 歩きなれた住宅街をとぼとぼと歩く。その歩みにはとても覇気などあるように見えず、それすらいつもどおりだった。重い身体を引きずるように、朝の倍程の時間をかけてとろとろ帰り道を歩く。
 別に家に帰りたくないわけではない。体調が悪いわけでも、荷物が重いわけでもない。むしろ荷物は軽いくらいだ。教科書はすべて学校に置きっ放しにしてある。もちろん事実、身体が重いわけでもない。重いのは気分だ。
 体育の授業ではスタートしたとたんに転び、理科の実験ではマッチに火をつけることすら出来なかった。数学のテストも赤くないところを探すのが難しいくらいだ。自分でもあまりの駄目っぷりに言葉も出ない。これではダメツナ扱いされても仕方がないだろう。生まれてからずっとこの駄目っぷりに付き合ってきた自分が思うのだ。他人がそう言うのも当然だ。
 ああ、なんていつもどおり!今更過ぎて溜め息すら出ない。いや、出るけどさ。
「はぁ、」
 そりゃ14年間こんなダメダメライフに付き合えば溜め息だって板に付いて来る。
本当は中学に上がるとき少し期待していたのだ。小学生からすると中学生は自分達よりずっと大人のように見えていた。中学生になれば、俺もああはなれなくても少しはマシになるんじゃないか。中学デビューという訳ではないけどそんな期待もしていた。でも俺は相変わらずで。むしろ小学校よりやることが増えた分、俺のダメツナ具合も目立つようになった。
 重い気持ちのままポケットに手を突っ込めばかさりとした紙の感触。何だろうと思えば正月に引いたおみくじが出てきた。どうやら財布に入っていたのが出てきたらしい。それを見てまた俺は溜め息を吐いた。運勢は凶。これすらいつものことだ。毎年毎年、必ずと言っていいほど凶。凶がない神社では末吉。大凶のある神社には行ったことがない。いっそすごいと自分でも思う。これでは願いごとの成就もたぶん無理かもしれない。
別に頭が良くなりたいとか彼女が欲しいとかそんな無謀なことを望んだわけではない。好きな子はいるけど付き合いたいとかそんなのおこがまし過ぎる。
 ただ、友達がほしい。
 昼を一緒に食べてくれるような、休み時間におしゃべりできるような、そんな友達が欲しい。こんな願いですら俺には過ぎた願いだっただろうか。