「骸に死ぬ気弾打ったらどうなるかな」 「あぁ?」 俺の言葉にリボーンはライフルや手榴弾などを手入れをしている手を止めた。それにしても、愛銃しか使っているところをみないのに、リボーンはいくつもの武器を所有している。手入れも欠かさない。これがプロ意識ってやつか?でもぶっちゃけ死ぬ気弾以外撃ったことって見たことないぞ? 俺は宿題をしながらそんな様子を眺めて思ったのだ。 骸が死ぬ気になったらどうなるんだろう。 死ぬ気弾が俺以外にも効果があるのは了平さんや京子ちゃんたちで実証済みだ。俺みたいに強気な人格になるのか。了平さんみたいに変わらないのか。京子ちゃんみたいに静かな感じなのか(これが一番ありそう!)純粋に好奇心で俺は思った。いいか!好奇心で、だ!(大事なことだから二回言いました!) 「……骸の裸が見たいなら本人に言え」 お前が頼めば喜んで脱ぐだろ。呆れるように言われて俺は顔を赤くする。 「そっそんなこと言えるわけないだろっ!」 「見たいのは否定しねぇのかよ」 だ、だいたいあれは裸じゃなくて下着姿だし……!あぁ、でも頼んだら脱いでくれるかなぁ。無理かなぁ。 珍しいリボーンのツッコミも余所に俺は思わず頬に手を当てて悩んでしまう。 骸の裸、かぁ。骸肌白いし、やっぱり腹とかも白いのかな。筋肉はあんまりなさそう。でも体術とか使えるし案外あるのかな。指とか細いけど腰はどうなんだろう。見た感じ細そうだけど。うーん。 「ま、いいけどな。打ってやっても」 「マジで!?」 「せっかくのボンゴレ十代目直々の暗殺以来だ。ロハで請け負ってやる」 にやりと笑う赤ん坊に俺は眉を寄せる。内容もあれだけど、それにしても『ろは』ってなに? 「暗殺とか違うだろ!だいたい死ぬ気弾じゃ死なないし!」 「死ぬ気弾で死なないのは、未練がある奴だけだ。あいつはどうだろうな?」 「いや、だって骸けっこう生き汚いじゃん」 実験体にされても、投獄されても、きっと死にたいような目に何度もあったろうに、それでも骸は生きている。その理由が世界への復讐だとしても、骸はそれを叶えるまで死にたいなんて思わないはずだ。 「あいつが死にたがりなんて言ってねー。あいつは生きている限りは何が何でも生きるだろうよ。問題は死ぬ瞬間、それをするまで死ぬに死ねないと思えることがあるかどうかだ」 「骸にはないっていうのかよ」 今まで何回も死ぬ気団で打たれたけれど、俺は死んでない。誰も死んでない。だって未練くらい誰にだってあるはずだろう? 「あったところで死ぬと思った瞬間きっと諦める。今生を惜しんで、来世に願いをかけて、それでおしまいだ。次がもうないからこそ死ぬ気弾は効力を示す。次がある六道骸なら、そう考えるんじゃないか?まぁ、もちろん輪廻を巡り続けるっていうのが本当の話だったらだがな」 リボーンの言葉に俺は押し黙る。確かに骸ならそう考えそうな気もしたからだ。 だけど納得した訳じゃない。呪いを持つもの同士だか知らないが、俺より骸のことを分かっているみたいな口振りにはムっとした。 リボーンなんて骸の舌の味も知らないくせに。 小さな苛立ちのままに、でこぴんの要領で消しゴムをリボーンに向けて飛ばす。 「って」 ……まさかのヒットだった。 当然俺は死にそうになって、当然俺は死ななかった。 だって骸が居る限り、いつだって俺は死ぬに死ねない。 |