「ねえ、草壁くん。いい加減僕のところに来ませんか?あの男にいくら尽くしたって何も返ってきませんよ」 「六道さん・・・、別に俺は恭弥さんに何かして欲しいとかそんなことは望んでいないんですよ。ただ、あの人の傍においてもらえればそれでいいんです」 目の前の男はそう幸せそうに笑った。黒いスーツ姿の彼が持つ着物はおそらくあの男のためのものだ。そう思うと、とたんにただの布であるはずのそれですら許せなくなる。 彼の腕から着物を奪うと、手にした凶器で引き裂いた。絹を裂くような、そんな音とはかけ離れた音を立てて布がびりびりになっていく。 そのことに一瞬驚いた顔をした後、とても悲しそうな顔をした彼にふと殺意のようなものが沸く。その表情すらすべてあの男のためのものなのだ。 「怒ればいいでしょう!」 きょとんとした顔にさらに苛立ちが募る。 「怒ればいい!君は、僕に怒ればいい!僕の、僕の為だけに!」 そう叫ぶと同時に堅い身体を押し倒す。背中が床にぶつかって鈍い音が響いた。きっとあざになるだろう。あざになってしまえばいい。三叉槍の先を突き刺そうとした瞬間、ごつごつとしたそれに止められる。 「駄目ですよ、六道さん」 「、どうして・・・」 僕のものになってしまえばいい。そうすればもうあの男を想って苦しむ必要などなくなる。 「俺は恭弥さんのものですから」 それならば優しくなんてしないで欲しい。そんなふうに笑うなんて卑怯じゃないか。 (未来設定でまさかの哲×骸) 「骸ってさぁ、なんか虫っぽいよね」 唐突に告げられた言葉にぎょっとする。もしかしなくてもけなされているんだろうか。 「虫、ですか・・・?」 「うん、虫」 繰り返す彼の顔は飄々としている。指の節を触る手がくすぐったいと同時に少し怖い。もしかしてこうされている今も虫を想像されているのだろうか。 「ああ、虫っていっても蝶とかだから安心して」 安心してと言われても安心していいのだろうかそれは。いや、確かに芋虫とか、あの名前を言いたくない例のGとかよりは全然いいのだが。 「あの、蝶だとしても嬉しくないんですが。むしろ虫っぽいなんて言われて喜ぶ馬鹿が何処にいるんですか」 「えー、でも骸は俺にとって虫みたいな感じだからなぁ」 何なのだろう。やはりけなされているんだろうか。虫けら扱いなんだろうか。 「ど、どういう意味か聞いてもいいですか」 どうしよう。まじで虫けら扱いだったら。ああ、やっぱり聞かないほうがいい気もしてきた。 「んー、だってなんか骸って捕まえて、閉じ込めたい感じじゃん?だから」 え、あれ?これは喜べばいいのだろうか、怖がればいいのだろうか。 「・・・・・・磔にはしないでくださいね」 分からなくなって取りあえず指に触れる手をそっと握り返した。 閉じ込められたいと思う僕は、きっともう君の手の中に囚われている。 (相変わらずな感じにツナムク。 と思ったらツナが黒いらしい。そんな当サイトのデフォルトです) ↓2つは短い上に少しエロいです。でも18禁ではないと思う。 鎖骨に噛み付けば「あん」と嘘くさい、AVのような声が聞こえた。 それに無性にイラっときて俺は骸の薄い唇を塞ぐ。舌を入れて絡ませれば、骸のそれも応じてくる。主導権を握っているのは俺だったはずなのに、いつのまにか俺ばかりが翻弄されている。いや、骸は確かに受けているだけなのだ。なのにその技巧にキスだけでいってしまいそうになる。 堪えかねて唇を離せば溜まった唾液が筋を描いて骸へと垂れた。そのことに骸は微かに眉を寄せる。骸は少し潔癖症なところがあると思う。しかし、そんな俺の視線に気付くとすぐに何事も無かったような微笑みを浮かべた。 息の荒いのは俺ばかりで骸の笑みはいっそ人形のように穏やかだ。 「・・・むくろのバカ」 余裕の態度に苛立って、そう呟けば笑みは崩れ慌てだす。一体なんだというのだ。 そこに愛が無いわけではない。愛が無いわけではないと分かっているが、何故か無性に空しくなった。 (枯れてる骸って萌えるよねっていう話) ぎしぎしとベッドが軋む音がする。そのたびに締め付けられて吐息が洩れた。 「あ、う・・・」 沈み込むごとに腹へと加わる重みが増す。 「つな、よ、し・・・くん・・・」 骸の爪が俺の腹にくい込む。俺の腹には既にいくつもの赤い線が入っている。 「ねぇ、もしきみが、しんだら・・・」 「?」 ぼやけた瞳で見上げれば光悦した表情の骸と目が合った。 「きみが、しんだら、ぼくが生んであげますね」 途絶え途絶えに聞こえる言葉に眉をひそめる。 死んだら骸から生みなおされる?相変わらずなんて電波だ。 「いやだよ」 骸が母親なんて冗談じゃない。 (↑のあとすぐ書いてみた。骸なら産めそう。実は騎乗(ry・・・げふんげふん) |