目覚まし時計が壊れた金曜日の朝



Re・・・

ぱち

目を開けると、ちょうど目覚ましが鳴り始めようとしていた。
煩くなる前に止めてしまう。
骸はあの音が好きではなかった。

(綱吉君のことは僕が起こしてあげればいい)

布団から抜け出して窓の外を見ると、まだ少し薄暗い朝の風景があった。空には雲ひとつなくて、快晴を予想させる。

(こんないい天気なのに、綱吉君は今日も学校ですか…)
自分も学校に行かなくてはいけないことはまるで無視だ。

窓に手を当てると氷のように冷たい。たわむれに温度差で白く曇ったガラスに指で相合傘を書くが、すぐに雫が垂れてよく分からなくなってしまった。

窓から手を離して振り向くと、綱吉はまだ眠っている。
「ふあぁ」
穏やかな寝顔を見ていたら、再び眠気がきた。

ごそごそと布団の空いているスペースに入りなおして、冷えてしまった両手を綱吉の手を握って暖める。冷たかったらしく綱吉の手は離れようとしたので、しっかり握りなおす。
(はぁ〜温かいです)

ぬくぬくとしていると、本格的に眠くなってきた。
(むぅ、綱吉君が起こしてくれるまでねます か…)



そして骸は眠りについた。
鳴り響くはずだった目覚まし時計は沈黙を保ったまま。
鳴れなかった目覚まし時計は、次の日壊れたと思われて捨てられたらしい。

つまり、これは不幸な目覚まし時計の話である。


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