大事なものが見つからない火曜日



「千種ー!犬ー!大変です!すぐ!すぐ来てください!!」
骸はリビングでごろごろとテレビをみている二人を呼んだ。
「…どうしたんですか、骸様。いつもなら、ボンゴレの家に行っている時間では?」
「そうなんですよ!千種!!……おや?犬はどうしました?」
二人を呼んだはずなのに、千種の姿しか見えない。
最近はこの時間帯なら、二人してテレビを見ているはずなのだが。
「犬ならテレビの前ですよ。ちょうど神田がアレンを切りつけるところだったので」
「はい?神田って何ですか」
「アニメのキャラです」
「いますぐ犬を呼んできなさい」
「……めんどい」
「な・に・か?」
「…いえ」

 しぶしぶ犬を呼びにいった千種が戻ってきたとき、犬にはヨーヨーが巻きついていた。
どうやらよほど抵抗されたらしい。
「なんれすか〜むくろさん。いまいいとこらったんれすよ〜!!」
「アニメを僕より優先するんじゃありません」
「それより、骸様。用事はなんですか」
千種もアニメの続きが気になるのか、ちらちらとテレビのほうを見ている。
さっさと開放して欲しいのだろう。

「そうです!!大変なんですよ!」
千種と犬が顔を見合わせる。
骸がこう言うとき、実際大変だったことはあまりない。
「綱吉君ちの合鍵がないんです!!」
「「はぁ」」
それがどうした。千種と犬の思いはひとつだった。
「ああ!僕としたことが一体どこへやってしまったんでしょう!あなたたち知りませんか!?」
「知りません」「しらないれす」
同時に言う。
リビングからEDの歌が聴こえてきた。
「合鍵なら、またボンゴレに貰えばいいでしょう。では失礼します」
「しますれす」
「ちょっ千種!?犬!?待ちなさい!!」


 家宝にするといって無理やり貰ったものだろうがなんだろうか知ったことか。
せめて、次回予告ぐらいは見たいのだ。


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