路端の石に躓いた火曜日 もうどっぷり暗くなってしまった道を歩く。 友達とゲーセンに寄っていたら、すっかり遅くなってしまった。 (寒くなったぁ。もう11月だもん当たり前か) 肉まんを頬張りながら思う。温かい肉まんは駅のコンビニで買ったものだ。綱吉は寒いのは嫌いだったが、コンビニの肉まんが美味しくなるこの季節は嫌いじゃなかった。 電灯の明かりが長く影を伸ばす。 どこからかカレーのにおいがした。 (いいなぁ、カレー。確かレトルトのあったから、夕飯それにしよっかな) カンカンと音を立てながらアパートの階段を登る。廊下の電灯はおとついから切れていて、足元は暗い。慣れてなければ歩くこともできないだろう。 部屋まであと3m。…1m。…0。 で、何かに躓いた。 つんのめりそうになるのをバランスを取ろうとしたら、倒れることはなかったが、壁に頭ぶつけた。地味に痛い。 (いって〜!!なんだよ!てか誰だよ!こんなとこに何か置いたの!!) 自分が躓いた物の正体を知ろうと恐る恐る触ってみた。 人だった。 というか骸だった。 (な!なんでこいつこんなとこで蹲ってんだよ!!) 暗闇の中に蹲っていたのはパイナポー改め骸。 どうやら綱吉が躓いたのは骸の足のようだった。 「おい!骸!!お前何やって…って冷た!」 骸を揺さぶっていた綱吉はようやく彼の手が異常に冷たいことに気付いた。 (こいつはもともと体温低いほうだけど、これはちょっとやばいんじゃ…!!) 「骸!おい骸!起きろ!!」 ぱちぱちと彼の整った顔を叩く。 「んぅ〜、あ…!つなよしくん。おはようございます〜」 「……なに。おまえ寝てたの」 「あ、はい。綱吉君の帰りを待ってたらいつの間にか。綱吉君、今日遅かったんですね。おかえりなさい」 「ああ、うん。ただいま。…ってそうじゃない!なんで部屋の前で待ってんだよ!!じゃまだろーが!」 だいたいこんな手、冷たくして…ぶつぶつ文句を言っていた綱吉は、視線を感じて骸を見る。 なんだよ? そう目が言っていたのが分かったのか、骸は嬉しそうに答えた。 「いえ、綱吉君が僕のことをこんなに心配してくれたのが嬉しくって…!」 「別に俺だって心配ぐらいするよ。ほら、こんなとこ居ないでさっさと入れよ」 なんか温かいものでもあったかな〜 そう言いながら二人は部屋に入っていった。 ちなみに合鍵をなくしたことを告白した骸が綱吉にたたき出されるのは15分後である。 |
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